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セルパターニングのための
細胞操作用マイクロマニピュレータアレイ


 マイクロチップ上での高精度な細胞操作ならびに高度な細胞ネットワーク機能解析を実現するためには, 細胞を所望の3次元空間へ超並列・超高速に配列制御(セルパターニング)する技術が必要となります. そこで,細胞単位での高精度な操作が可能で,かつ最大100万個程度の細胞の超並列処理を可能とする “細胞操作用マイクロマニピュレータアレイ”の開発を行っています.図1は厚膜ネガ型フォトレジスト(SU-8)を用いて, ピラー構造(直径7μm,高さ25μm,ピッチ15μm)を形成した“マイクロ細胞培養チップ”上でのパターン培養実験の 一例です.HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来細胞株)を24h培養した結果,単離された細胞と比較して複数の細胞が隣接して 存在する方が,細胞の伸展が促進されていることがわかります.図2は先端部分が傘のように開いたユニークな形状をもつ SiO2製の特殊な3次元微小構造体(吸盤型マイクロニードルアレイ)です.図の例では,傘の直径が16μm, 先端部の内径が4μm(肉厚1μm),根元部分の外径が12μmとなっており,長さ70μmの構造体がピッチ20μmで アレイ状(25万本/cm2)に均一に形成されています.個々のニードルは中空構造であるため, 外部にポンプを接続することで,図のように,細胞(HeLa細胞)を吸引・捕獲することが可能です. 目的とするセルパターニングを実現するためには,所望のニードルにのみに細胞を捕獲(吸引)する必要がありますので, 現在は,細胞の捕獲(吸引)の有無を制御するマイクロバルブを個々のニードルに一体形成する技術の確立を進めています. 本デバイスの実現によって, ①単一細胞の挙動解析(増殖,分化,伸展,ストレス応答,バイアビリティなど), ② 2次元および3次元空間に配置制御した細胞郡のコミュニティサイズ(隣接する細胞数の違いによる影響も含む)と 細胞機能との相関関係, ③異種細胞間(例えば,平滑筋細胞と血管内皮細胞)の細胞間相互作用など,高度な細胞ネットワーク機能解析が 可能になることが期待できます.


図1 HeLa細胞の培養実験(培養時間:24h)


図2 吸盤型マイクロニードルアレイとHeLa細胞の捕獲




関連論文:

[1] T. Kawashima et al., Microelectron. Eng., 87 (5-8), pp.704-707, 2010.

[2] T. Shibata et al., Microelectron. Eng., 86 (4-6) pp. 1439-1442, 2009.


共同研究先:

 東京医科歯科大学  岸田晶夫 教授,木村 剛 助教

 弘前大学  牧野英司 教授

 山形大学  峯田 貴 教授